畳が傷んできたとき、「せっかく替えるなら、やっぱりい草がいいのかな?」と思う方は多いのではないでしょうか。
しかし最近では化学素材の畳表(樹脂表や和紙表)も増えており、どちらを選ぶべきか迷う方もいらっしゃいます。
今回は、い草の畳表のメリット・デメリットを職人の目線から正直にお伝えします。
このブログでは販売促進ではなく、「素材を知って納得して選んでほしい」という思いで書いています。
い草の畳表とは?
い草(藺草)は、もともと日本の風土に合わせて使われてきた天然素材。
湿度を吸ったり吐いたりしてくれる呼吸する植物です。
現在、日本のい草の多くは熊本県で生産されており、畳の表面を覆う「畳表」として使われます。

い草畳表のメリット
① 天然の香りと癒し効果
い草には「フィトンチッド」という天然成分が含まれ、森林浴のようなリラックス効果があります。
畳を替えた直後の香りに「落ち着く」「昔の家を思い出す」と感じる方も多く、心の安らぎを与えてくれます。
② 湿度を自然に調整
湿度の高い夏は水分を吸収し、乾燥した冬は放出する――い草はまさに“天然のエアコン”。
この働きにより、部屋の空気を快適に保ち、カビやダニの発生も抑える効果が期待できます。
③ 足触りのやさしさ
柔らかく弾力があり、素足で歩くと気持ちがいいのがい草畳の特徴。
子どもが転んでもケガをしにくく、高齢の方にも優しい素材です。
④ 和室の空気を浄化する
い草は二酸化窒素などの空気中の汚れを吸着する性質を持っています。
畳の部屋に入ると「空気がきれい」と感じるのはこの働きのおかげです。

い草畳表のデメリット
① 日焼け・変色がある
い草は天然素材のため、時間が経つと日光や照明で色が変わります。
ただしこれは「経年変化」としての味わいで、黄金色の落ち着いた風合いも魅力のひとつです。
② カビが発生することがある
湿気が多い環境や風通しの悪い部屋では、カビが生えることがあります。
特に梅雨時期は注意が必要ですが、換気やエアコンの除湿で防ぐことができます。
③ お手入れに少し気を使う
掃除機がけ・換気・日陰干しなど、少しの手間が必要です。
④服につく
畳表が傷んでくるとボロボロになり服や靴下に付くようになります。
しかし、これも「自然素材と共に暮らす楽しみ」として感じていただければと思います。

い草と化学素材(樹脂・和紙)の違い
お見積もりの時にお客様に簡単に説明するのが、
「い草の畳表のメリットが化学表のデメリットで、い草の畳表のデメリットが化学表ののメリットです。」と。
い草は畳を替えた時の良い匂いが有るけど化学表には無いとか、
い草は傷むと服にゴミが付くけど化学表は傷みにくいしパラパラゴミが付かない。
といったようにそれぞれに長所短所が有ります。
どちらが良い・悪いということではなく、暮らし方に合わせて選ぶことが大切です。
自然とともに暮らす心地よさ
い草の畳には、見た目や性能以上に「日本人の感覚に合う心地よさ」があります。
素材が呼吸し、四季とともに変化する。そんな自然素材ならではの“ゆらぎ”を感じる空間は、機能では表せない価値です。

まとめ
い草の畳表には、手間もかかれば変化もあります。
でもその分、人とともに歳月を重ねていく素材です。
新品の青々とした香りから、時を経て黄金色に変わるまで、暮らしの記憶を刻んでくれます。
畳工房大和では、畳の素材を知って納得して選んでいただくことを大切にしています。
どんな畳が自分の家に合うか悩んだときは、どうぞ気軽にご相談ください。
畳工房大和(たたみこうぼう やまと)
〒721-0942 広島県福山市引野町4-9-40
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